どこの農村でも同じことだと思われますが、私が実際に経験したことを少し述べてみます。
30年ほど前になりますが、青森県弘前市の岩木山の山腹でりんご農家を対象に緑葉たい肥を生産販売しょうと、支店の設立準備をしていた時のことです。
当時県内のりんご園では腐乱病と言う不治の病気が蔓延していました。
県の農政課では腐乱病にかかった木は即刻伐採、焼却を義務付けていました。
青森県では県の特産品であるりんごを守るため、腐乱病をはじめ3種類の病気を防ぐ農薬散布を条例で決め、違反すると罰金を課していました。そのほか年間13回の農薬散布を義務付けていました。
しかし、りんごの病気は減りませんでした。
それどころか、農薬散布で農薬を身体中に浴びた農民の方が原因不明の病気で体調を崩し、倒れる者が続出しました。
あの「奇跡のりんご」で有名になった木村秋則さんのお父さんも農薬中毒で亡くなられました。
だから木村さんは化学肥料と農薬を絶対に使わないのだと言ってました。
ほうれん草や白菜を寒さに晒すと甘味が増すと言われていますが、これも植物の持つ凄さの一つだと思います。
真冬の凍てつく畑で霜柱が立っていても、植物たちはあれだけ多くの水分を保持しながら凍らないのは何故か?
我々が車のラジエーターにクーラントと言う凍結防止剤を入れるのは知っていますよね、植物は自ら調達出来るデンプンから出来る糖を水分に混ぜるのです。
そうして凍結するのを防いでいるのです。
ですから寒さを通り過ぎてきた野菜は少しですが甘く感じるのです。
自分が持っているもので凍結を防ぐ知能を凄いと思いませんか。
植物の凄さは数えたら、限りなく沢山ありますが我々が特にお世話になっている、葉っぱについての薀蓄(うんちく)を言わせて下さい。
葉っぱは光合成などの重要な働きの最先端で活躍していますが、その割にはあまり注目を浴びていません。
花や実は注目を集めいつも主役級です。葉っぱの凄いところをいくつか取り上げでみましょう。
葉っぱの凄いとこ[その1]
葉っぱは主役である花の開花時期を絶妙にコントロールしています。
花は将来実を結び子孫を繁栄させるために重要な役割を担っています。
葉っぱは日長や気温を感知して、主に温暖な春先に開花、結実するようにアブシシン酸と言うホルモン物質を蕾(つぼみ)に送り、制御しています。たまに、アメリカシロヒトリなどの毛虫が大発生して、葉っぱを丸坊主にされたりすると、制御出来なくなり狂い咲きしたりすることがあります。
葉っぱの凄いとこ[その2]
植物と動物の遺伝子(DNA)はそれほど違わないという事も解ってきています。植物は動けないので動物より更に凄い、高度な感覚機構をそなえています。変化する気候に順応し、害虫や病気に対応し、特に光に対する感応は動物には無い凄さを備えています。
樹木は何かの陰になった時、なんとか光を得るために成長点を変えますし、野菜は害虫に襲われるとなんとか防御方法を知らなければならない。
人間と同程度以上の視覚を備えていると言われています。
葉っぱの凄いとこ[その3]
植物は生き残るため、常に移り変わる周囲の環境に敏感でいなければならない。
光の方角、量、持続時間、色を知るために電磁波を間違いなく感知していると言われています。
人間も感知しているが、感知出来る範囲は限定されているそうです。
植物はそれよりも短い波長や長い波長も感知出来るようです。
植物に「目」は無い、人間に「葉」が無いのと同様に、と言われています。
葉っぱの凄いとこ[その4]
これから暑い季節に林の中を歩くとひんやりして、とても涼しいですね、これも葉っぱの持つ凄い機能の一つです。
涼しいだけではなく人間にとって体に良い物質を放出し気持ちを和らげてくれます。
緑のカーテンと言って真夏の熱い太陽光を遮ってくれる蔓性の植物は、カーテンやよしずよりも涼しく感じます。全て、植物の行う「蒸散作用」と言う機能の一つです。